2019.08.10 04:47『ロンドン・ジャングルブック』 インドの貧しい村に生まれ、画家になるつもりはなかったというバッシュは、しかし、国外にも知られる人気の壁画絵師に。ひょんなことからロンドンに招かれた彼が、寓意溢れる絵と率直な言葉で綴った旅の記録。いや、寓意ではなく、彼の目にはあの都市の隠れたレイヤーがこんな風に見えていたのかも。...
2019.06.21 10:51『東京凹凸散歩 荷風にならって』「足を前に出せば一緒に気持ちも前に進み、帰宅したときには別の自分になっている。散歩は家からの逃避であり、自分への景気づけであり、みそぎでもあった」妻に逃げられ様々な憂鬱がのしかかるなか、そののどかな文体がかえって異様さとおかしみを漂わせる荷風の『日和下駄』。その心情と足跡をたどり...
2019.06.03 07:44『クワイエット・コーナー 心を静める音楽集』 音楽が円盤からクラウドの大海に放流される今、何でも聴けるのに何を聴いても心を上滑りするようで、もどかしい。 そんなときには、心にしっとりと染み込む音楽を親しい友人が控えめに勧めてくれるような安心感のある、このディスク・ガイドがおすすめです。 ジャズ、フォーク、ロック、タンゴ、ボ...
2019.06.03 06:57『バス停留所』 山間の曲がりくねった道、湾に沿って緩やかに弧を描く海辺の道、昭和の風景そのままの旧市街を抜ける道。 47都道府県すべてを巡って各地の田舎道にぽつぽつと立つバス停を撮り集めたこの写真集は、粗いモノクロで写し撮られた素朴さゆえに、かえって鮮烈に、私たちに「人の暮らし」を再発見させて...
2019.05.23 11:14『70s 原宿原風景』喫茶レオンを語る高橋靖子、セントラルアパート7階のスタジオと加藤和彦を回想する牧村憲一、「原宿の街全体がアートスクール」と綴るプラスティックスのボーカリスト、中西俊夫の遺稿。スタイリスト中村のんの元に寄せられたエッセイは、街と人の繋がりが生み出した奇跡の時間を今に伝えてくれます。...