『バス停留所』

 山間の曲がりくねった道、湾に沿って緩やかに弧を描く海辺の道、昭和の風景そのままの旧市街を抜ける道。

 47都道府県すべてを巡って各地の田舎道にぽつぽつと立つバス停を撮り集めたこの写真集は、粗いモノクロで写し撮られた素朴さゆえに、かえって鮮烈に、私たちに「人の暮らし」を再発見させてくれます。

 長年の風雨に朽ちかけながら今も役目をかろうじて果たしている待合所の小屋。停留所の名前に残る今は統廃合されてしまった古い地名。時間が止まったような風景に郷愁を感じながらページをめくっていると、ときおりバスを待つ人々の姿が目に飛び込み、今もここに日常生活があることを感じます。

 かつて同じように故郷の町でバスを待っていた自分自身の姿を、みなさんも再発見するかもしれません。

『バス停留所』柴田秀一郎/リトルモア


(この書籍紹介文は、「マネジメント倶楽部」2018年7月号に久禮が執筆したものから転載しました)


Pebbles Books

Pebbles Booksは、文京区小石川の千川通りから住宅街へ入った、一軒家の新刊書店です。 pebbleとは、小石のこと。 書き手から読者へと流れる大きな川を転がりきれいに丸みをおびた小石のような、 いい本をたくさん集めたいと思っています。